前回のブログでは日本貸金業協会の会員向け広報誌を基に、
貸金業者がピーク時の約4%にまで減少している事を紹介しましたが、
今回はその減少により、市場がどのような現象と言うか、傾向になってきているかについて
お話したいと思います。
とは言いましても、それについては平成30年1月1日付の東経情報に
(株)クレイリッシュ 高木社長の『債権の売買を偽装するヤミ金融』と題した特集記事が載っていまして、
それが非常に分かり易いかと思いますので、何回かに分けてご紹介させていただきます。
※同氏には当ブログ掲載了承済み
以下
******************************************
近年は貸金業者の減少に伴い、非正規貸金業者(ヤミ金融)がその数を増やし、警察からの摘発を
逃れるために巧みにその姿を偽装しています。事業者向け金融の分野で特に急増したのが、
貸金業法や利息制限法の規制が及ばない”ファクタリング(債権の売買)”を偽装したヤミ金融です。
※以下、”似非(えせ)ファクタリング”といいます。
金銭の貸付けに関しては利息制限法でその上限が厳しく制限されています。
(元本100万以上は年率15%まで)
しかし、債権の売買については貸金業者の利息に相当する手数料の上限を規制する法律がなく、
かつ、業者の登録制度もないため法令順守態勢に問題のある起業も参入することが可能です。
これら似非ファクタリングの実質金利は年率100~360%で、その被害は拡大しており、
いずれ社会問題化することは必至と思われます。
~省略~
平成27年時点の無登録高金利事犯(ヤミ金融被害)の検挙状況は、
東京都を管轄する警視庁が公表するデータにおいて、平成22年の検挙事件数307件に対して
平成27年には140件と半減し、また、被害人員は7万人から2万人に減少していますが、
被害金額だけでは114億円から161億円に増加しています。
これは被害者一人当たりの被害額が14万円から78万円に増加している事を意味しています。
つまり、ヤミ金融の被害者が、比較的借入金額の少ない消費者から金額の大きな事業者に移行している
のではないかと推測されます。
したがって、消費者のヤミ金融被害は減り、事業者の被害は増えていると考えるのが自然です。
昭和のヤミ金融は、多重債務者やブラックリスト登録者でも「担保や保証人不要で融資します」と
宣伝し、ある意味ヤミ金融であることを公言していました。
そして、警察の捜査の手が及ぶと店舗を閉鎖し、別の場所で異なる屋号を用いて営業を継続しました。
その融資対象は消費者と事業者です。
一方、平成のヤミ金融は似非ファクタリングに転換し、この方法ならば警察に検挙される可能性が低く、
事務所を転々とする必要もない、まさに安住の地なのです。
しかし、売掛金の売買を偽装する必要から、消費者向けの貸付けからは撤退し、事業者向けの貸付けに専念することになりました。
以上の経緯からヤミ金融被害者が消費者から事業者へ移行してるのではないかと考えられます。
似非ファクタリングの被害を把握することは出来ませんが、
それらを推測する唯一の客観的判断材料は ”債権譲渡登記” です。
この登記は債権を担保とする貸付け、または商取引の債権保全を目的として他の債権者に対する
対抗要件を 具備するために登記されています。債権の売買に伴って登記されることは少ないのですが、
債権の売買を偽装した似非ファクタリングにおいては頻繁に登記がされます。
このため、これら登記の「債権の譲受人」に着目すると、似非ファクタリングの実態を推測することが可能になります。
次回へ続く
***********************************************
次回は、高木社長が調査された似非ファクタリングの実態についての記事から
紹介していきたいと思います。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。