11月4日の日本経済新聞に改正民法について記載がありましたので、今回は営業の本多がその記事について紹介したいと思います。
※下記参考資料
約120年ぶりの抜本的な見直しで改正民法が施行されるまで半年を切りました。
では改正民法が施行されるとどのようなルール変更がなされるのか例を挙げて説明させて頂きます。
記事にもあるように、まず1つ目は建設業での「請負」のルールが変わります。
建設業界では元請が工事の受注を請け、下請け企業に工事を発注することになるのですが、そこには「債権譲渡制限特約」というものがありました。
これは何かと言うと、工事の代金を将来受け取る権利(債権)を金融機関に売却したり担保に入れたりすること(債権譲渡)を制限するものです。
この特約が改正民法では原則無効になります。
そうすれば下請け企業は工事が終わるまでに資金を回収できるので、中小企業が多い下請け企業にとっては資金繰りがしやすくなります。
ただし、この特約が無効になると起こる問題もあります。債権を金融機関に譲渡し、資金化した企業が完工前に逃げたり、反社勢力に債権が渡ったりする可能性があります。
そうなると逃げた企業が一次下請けであった場合、その下についている二次下請けも被害を受けてしまいます。
なので、このような問題が起こらないよう別の規定を設けるかどうかが論点になっているようです。
2つ目にシステム開発の現場でも大きな変化があります。
今まではシステムを引き渡した後の欠陥について開発側が責任を負うのは、引き渡してから1年間でした。
それが改正民法では、契約書で期間についての明記が無い限り欠陥に気付いてから1年間となりました。
今までは保証期間以降は有償の保守契約を結ぶことが多かった業界ですが、今後は保証期間についての明記をしていなければ1年経った後でも開発が責任を負わなければならず、製品の価格に対応コストを反映しなくては開発側が不利になります。
こちらについても契約書に保証期間を明記することで対応は可能です。
3つ目に、個人保証に関するものです。
不動産の賃貸借契約では個人の保証人(借主の親など)と連帯保証契約をすることが一般的だが、その連帯保証人の保証範囲について極度額を定めることになります。
これは保証人の負担を軽減するためのものです。
今までは、書類1枚で継続的に保証する契約であったものが、改正民法では、契約時に保証の上限(極度額)を定めないと無効になります。
また事業主が事業資金を金融機関から借りた場合の経営者以外の保証人については、保証契約を結ぶ直前1カ月以内に公証役場で公証人と面談し、「保証意思宣明公正証書」を作成しないと、保証契約は無効になります。
こちらも今までは書類1枚で保証契約が出来ていましたので、自ら公証役場に出向く手間も増えます。
しかし、保証人が企業の実態を理解しないまま保証人になってしまい、多額の負担を被ることを防ぐ狙いがあります。
以上3点について述べましたが如何でしたでしょうか。
改正民法では下請け企業や消費者、保証人にとって有利に働くルールに変更になりますが、結局は今までのルールを盛り込んだ契約書を作成することで抜け穴が出来るのではないかと感じる次第です。
改正民法で契約書の内容についても制限をかけるのであれば、抜け穴は無くなるかもしれませんが、施行までの半年でどのようになるのか皆さんもお考えになっては如何でしょうか。
今回も最後までお読み頂き有難うございました。
次回は、11月17日に実施されました、貸金業務取扱主任者資格試験の問題について解説させて頂きます。
※参考資料