皆さんは約束手形の性質は、その言葉通り「約束した期日に額面の金額を支払います」
と言う有価証券である事は容易にご理解して頂ける事かと思いますので、
今更説明は控えさせてもらいます。
しかし、「為替手形」はどのような時に使うかは、教科書等で学習した限りでは
支払い義務のある者が、為替手形の振出人に代わって、引受人となり、受取人に対し、
額面の金額を支払う三者間取引のための有価証のこと、とあり、
それ(上記の説明)以上はあまり馴染みが無い事が理由かとは思うので、
一般の方達は使い方まではイメージ出来ないのではと勝手ながら想像しています。
答えから先に申し上げると、為替手形は本来の使い方の三者間取引より
印紙代の節約を目的として使われる事が専らで、
それは、手形帳は自社の取引している金融機関のを使用し、振出人欄に支払先を署名してもらうようにし、
印紙を貼らせ(負担させ)、引受人欄に自社の署名をし、受取人に支払い先を再度署名してもらう、
と言う二者間の取引で使われている事がほとんどです。
これは手形を扱っている企業では昔からよくある習慣なので珍しい事でも何でもない事なのですが、
最近久しぶりに、この「為替手形」を自社の債権の回収の為に使用された会社の話を聞き、
今回のブログの記事にしました。
どのような事かと言いますと、債務者が手形を発行する事が出来れば、それを使用すれば良いのですが、
当座取引の口座の無い人は勿論の事、手形を発行(振り出し)した事のない
法人でも、自然人に対してでも債権を回収するツールとして債権者が為替手形を振り出し、
債務者に引受欄に署名捺印させると言う方法です。
決済銀行と口座番号欄には理屈では、債務者である引受人の取引金融機関とその口座番号を記入すれば、
決済されるか否かは別として流通はしますが、金融機関に口座が無い人が引受けた場合はどうなるのでしょうか。
私はそのような為替手形を取り扱った事も、それが手形交換所にまわって、どのような不渡りになるかは
はっきりとは知りませんが、たぶん「取引なし」の事由で不渡り手形になるはずです。
皆さんもご存知の通り、「手形を不渡りにした」と言う事実は銀行協会の記録に残り、
2回目の不渡りを出すと、銀行取引停止処分になります。
ですから、このベナルティを盾にし、債権者が債務者に
「ちゃんと債務を履行してくれなかったら、この為替手形を交換所にまわすよ!」
と言う担保として債務者から預かり、回収に役立てたようです。
当事者間での合意の上での取引金融機関に当座の口座がある人にしてもらうこの行為については、
第三者がどうこう言う問題でもないのですが、もし金融機関に口座のない人に対して
引受人欄に署名してもらうと言う行為は不渡りになった後に、その手形の所持人が権利を主張しても、
善意の所持人とみなされず過失を問われるので果たして判決が出るのかは疑問を残すところです。
少し難しい話になったかもしれませんが、このような手形の性質について、
手形は、手形法上では有効でも実情では無効である事が多いので興味のある方は、又何なりとお問合せ下さい。
今回も最後までお読み頂き有難うございました。