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龍実ブログ

営業部の青木です。

去る11月17日に、年に一度の貸金業務取扱主任者資格試験がありました。

2時間内で50問4択の試験で例年手形小切手、電子記録債権に関する問題が出題されていたのですが今年は1問もありませんでした。

ですので、今回は手形小切手、電子記録債権ではなく出題された問題から1問解説させていただきたいと思います。

問題

行為能力に関する次の①~④の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

  • 成年被後見人の法律行為は、その成年後見人の同意を得て行われたときは、取り消すことができない。

解説  成年被後見人の場合は家庭裁判所により成年後見人という法定代理人が選出され、成年被後見人のサポートをします。

ただし、未成年者の法定代理人と異なり、同意をしても契約は有効で確定しません。

成年被後見人は判断能力を欠いているのですから、事前に同意をしてもその通りに契約してくれるとは限らないからです。

したがって、契約を有効とするには、成年後見人に代理してもらうか、追認する必要があります。

そのため、成年後見人が同意した行為でも有効で確定していない以上、まだ取り消すことができます。

設問では取り消すことができないとありますので間違いです。

  • 被保佐人、相続の承認又は放棄をするには、その保佐人の同意を得る必要はない。

解説  被保佐人は、事理弁識能力が著しく不十分な者で、家庭裁判所の審判により保佐開始の審判がされた者をいいます。

被保佐人には家庭裁判所の審判により保佐人が選任され、サポートします。被保佐人は判断能力が回復しているので、すべての取引に保佐人の同意が必要となるわけではなく、重要な行為(借財や保証、元本の受領等)に限定されています。

被保佐人が保佐人の同意を得ず、重要な行為を1人で勝手にした場合、被保佐人または保佐人は取り消すことができます。また保佐人は代理や追認をすることができます。

相続は重要な財産上の行為であり設問では同意を得る必要はないとありますので間違いです。

  • 被補助人は家庭裁判所の審判により補助人の同意を得なければならないとされた行為以外の法律行為は、単独で有効に行うことができる。

解説  被補助人とは事理弁識能力が不十分な者で、家庭裁判所の審判により補助開始の審判がされた者をいいます。

被補助人には補助人が家庭裁判所により選任されサポートします。

被補助人は被保佐人よりもさらに能力が回復していますので、同意が必要となるのは被保佐人が単独で行えなかった重要な行為の一部のうち、家庭裁判所が定めたものとされています。

設問のとおりです。

  • 一種又は数種の営業を許された未成年者は、これにより成年に達したものとみなされ、

すべての法律行為について、成年者と同一の行為能力を有する。

解説  18歳未満の者は未成年者とされ、1人で有効な契約を行うことができず、法定代理人(親権者)に同意をしてもらったり、代理してもらわないといけません。

これらをせずに1人で勝手に契約をすると、未成年者本人または法廷代理人はこれを取り消すことができます。取り消すと最初から契約していなかったことになります。

例えば未成年者が親の同意を得ずにお金を借りた場合、この契約は取り消されてしまう可能性があるのです。

ただし1人で有効にできるものもあります。

  1. 単に権利を得る(ただでお金をもらう等)義務を免れる行為(借金の免除等)
  2. 法定代理人が処分を許した財産の処分(処分の目的を定めたもの(学費等)と処分の目的を定めないもの(お小遣い等)がある)
  3. 特定の営業(貸金業等)を法定代理人から許された未成年者が行う営業

また、契約を取り消せる場合でも法定代理人が追認をしたときは、契約締結時に遡って有効になります。

設問にあります成年に達したものとみなされ、すべての法律行為について、成年者と同一の行為能力を有するということはありませんので間違いです。

以上の結果、設問の③が正解となります。

結局のところ「未成年者」はなんとなく判るように思いますが「被保佐人」と「被補助人」の違いを理解していなければ難しい設問だと感じました。

皆様は如何感じられたでしょうか?

拙い解説でしたが、最後迄お読みいただきありがとうございました。

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