前々回のブログ『流通を妨げる手形』の中で、手形は「形式さえ整っていれば、
手形法上は有効です。」と書きましたが、皆様は”私製手形”なる物はご存知でしょうか。
当社でも、ベテラン社員は別として、10年以上勤務している社員達ですら見た事が
無いくらいですから、ご覧になった事がある方は、可也のツウ?だと思います。
この”私製手形”とは、手形要件(・一定の金額を支払うべき旨の単純な約束
・満期の表示・約束手形なることを示す文字、等々)が全て書かれている用紙でして、
私の記憶している限り、30年位前は市販されていました。
この様な、全国銀行協会の規格様式で作成された統一手形用紙以外の”私製手形”
(前々回のブログで手形の効力を得る為の要件は「呈示」と申し上げましたが、
統一手形用紙でなく、銀行では取扱い不能で手形交換所で呈示する事が不可能な物)が、
何故存在していたのか、又どんな時に活用されたのかお分かりになりますでしょうか。
答えは、借用書の代用か、債務の承認書の代用で”私製手形”を受領する側は、
これで判決を得られる(債務名義を得られる)、という前提で存在していました。
と言うことは、手形交換所以外での呈示の方法が有る?有った?と言う事です。
明治時代の判例で、「手形を携帯して、支払いの場所へ臨んだが不在で…」と言う
事例でも、呈示の要件を満たしたり、「手形の所持を明確にした上での支払命令を
督促した事」が、呈示の要件を満たしたと言うものも有り、現在では疑問に残る
ところですが、昭和時代以降は、どうやら所持人が公正人を振出人(引受人)へ
同行して呈示する方法だと有効で有る?有った?ようです。
(私も具体的な事実や手続きは知りませんし、又違った方法かもしれませんので、
それは又追って調べて、お伝え出来ればと思っています。すみません)
では、何故今回こんなえ~かげんなブログをアップしたかと申しますと。
「私製手形に係る手形訴訟」の東京地裁判決が平成15年11月に出ていまして、
それを皆様へご紹介したかった事と、その中では「呈示」は完了されていたよう
だからです。
次回に詳しい説明と私の意見を述べたいと思います。
今回も最後迄お読みいただき、ありがとうございました。