前回の続きです。早速、平成15年11月の判例を御紹介したいと思います。
舞台は、当時、独立系では日本一の事業者金融業者「商工ファンド」(その後破綻)が、
お客様から私製手形を振出させていて、それについて適法であるかを争った事件です。
以下、判決文
如何でしょうか。
①「手形としての金銭支払の手段性、信用利用の用具性が全く認められず」
②「手形としての本来の性質を全く見いだせず」
③「手形法の趣旨を逸脱して作成され」
と、最初に手形法の形式性を否定した上で、
④「簡易・迅速に債務名義を取得して、同人らに圧力をかけて金銭の取立をする事を
目的」と、手形の迅速性と手形独立の原則のメリットを目的としたこの行為を、
⑤「手形制度及び、手形訴訟制度を濫用」
として、不適法であるとしています。
①~③は”私製手形”だから駄目で、だから⑤と言うのなら、まだ解りやすいと
思うのですが、④に付いては、私は余分のような感想です。
もっと言うなら、①~③は現在流通する手形の呈示方法の違い、特異性について説けば
良いように思いますし、④については、従来から習慣的にある手形貸付の
問題についてまで言及しているように感じます。
当座取引のない人に、自己振出の為替手形の引受人に署名をさせたらどうなるの
でしょうか。
色々と考えさせられる、少し釈然としない判決文ではないでしょうか。
私の解釈が悪いのかもしれませんが、これについて、皆様の意見や感想が有れば、
是非とも聞かせていただけたら、 嬉しく思います。
今回も、最後迄お読みいただきまして、ありがとうございました。