皆さんは、銀行が発行している統一手形用紙の裏面に「拒絶証書不要」と小さな文字があることをご存知でしょうか?
本当に小さな文字で見落としがちです…
拒絶証書の説明をさせていただく前に、遡求(償還請求)の話をしようと思います。
遡求とは、手形の満期に支払いを拒絶された場合等に所持人が裏書人などの自己の前者に対して、手形金額と諸費用の弁済を請求することで、手形の取得者を保護し、手形流通を確保することを目的とします。遡求する際、原則として必要なものが拒絶証書です。
拒絶証書とは、支払いを拒絶されたことを証明する書面であり、公証人か執行官の署名捺印が必要となります。
その作成には、作成費用に7,000円(休日は増額)や手間隙が必要となります。(作成費用については、結果的に遡求される側が負担しますが…)
このように作成費用と加えて1裏書人だけならいいですが、2裏書人、3裏書人とあると時間がかかり、速やかな遡求の妨げとなり、手形の流通を阻害することになります。
そこで、登場するのが「拒絶証書不要」です。この文言があれば、手形の所持人は、拒絶証書の作成なしに、遡求する権利を行使でき、遡求する側には、手続きを省略できる利益を与え、遡求される側にとっては、拒絶証書の作成費用の負担を免れる利益があり、手形の流通性を向上させることができます。
お話ししたように、手形の中には、小さな文字で、大きな効果がある文字が隠れています。
お時間があるときに、手形紙面と見詰め合ってみるのはいかがでしょうか?