私がこの業界に入って、研修で初めて「ユウテには注意するように!」
と言う言葉を耳にした時に、「幽霊手形を略して”幽手”と言うんやろうなぁ。そら危ないわ!」
と、かなり確信を持って想像して…
その後の説明でそれが全く違っていた、と言う変な記憶があります。
この「ユウテ」は、当たり前に「融通手形」の略で、
「融通した手形」「融通してもらった手形」なのですが、
皆様は、この”融通”の意味を如何解釈されてますでしょうか?
一般的に、融通手形とは、簡単に申し上げると…
①お互いに手形を貸借し合って、振り出した手形
②一方が貸した手形
③金銭消費貸借契約の借用証書の代わりや、債務の承認で債務者側が振り出した手形
以上のように(③は、また別の言い方もあります)、
金融を目的とした手形、又は逆に、商行為が無かったのに(商取引の裏付けがなく)
振り出された手形の事を指して言います。
このような融通手形が如何にリスクが高いか、又、その融通手形の用途については、
別の機会に述べたいと思います。
さて、先に問い掛けた”融通”の意味と解釈についてですが、本来…
A:「お互いに金銭や品物などの都合を付けて貸借し合うこと」
B:「臨機応変に物事を処理すること」
と2つ有り、ここで言う融通手形の”融通”は”A”の方が正解と言われています。
では、”B”の”臨機応変に物事を処理すること”の融通の解釈から考えられる手形はどうでしょうか?
例えば、「下請け業者が、支払いを受ける迄の締日から、支払い日迄の間に、
本来のルールからハズレて、決められた集金日より何日か前に頼んで集金してきた手形」
は融通してもらった手形ですよね。
何故、このような”融通手形”の件について、今回のブログで取り上げたかと申しますと、
貸金業法の総量規制の取引から、除外される取引の中に「手形の割引」も含まれているのですが、
但し、”融通手形を除く”となっているからです。
もし、先に書いた”B”での例も、その”融通手形は除く”の枠内に入るのでは…と、
勘違いされる方も出てくるのではないでしょうか。
「融通手形」と一言で言っても、全く仕事をしていないのに着手金として貰う手形のように、
微妙な手形も多く、貸金業法に出て来る「融通手形」の概念・定義については、
明確性に欠ける文言だと、私は思っています。
今回も最後までお読みいただき、有難うございました。