前回のブログで「割り止め情報」と言う言葉の使い方が、
大雑把で、ニュアンスの違いがある事をお話しましたが、
今回は、その「割り止め情報」の弊害に付いて述べたいと思います。
その前に、この情報の利点は・・・
「不審な手形が出ている」→「不審な資金繰り」→「要注意(破綻リスク等)」と
考えられ、取引に際し警戒できる点がある、と言う事を十二分にご理解下さい。
例えば、皆様が会社の大切な商品を売る部門の責任者だったとしましょう。
売掛金が発生するお取引でしたら、どのように上限の金額を決めますでしょうか?
”自社の商品を買って下さる方は神様だから、無制限に売掛金を作ってでも売る”と言う事は、
お役所や超優良企業に向けてなら別として(本当はこれはこれとして「依存度に対して高いリスク」があります)、
ないと思います。
そんな時に・・・
A社は2,000万迄、B社は1,000万迄、C社は500万迄
と上限を決め、その範囲内迄の売掛金はOK!と言う基準を決めたとしましょう。
さて、この基準ですが、どのように決定しているのでしょうか?
私の知っている限りでは・・・
・金融機関等が持っている独自ソフトから算出される評価(スコアリングシステム)を使用
・安全性を計る為の興信所の評点
・今迄の実績(歴史)・利益率・将来性
から、決定していると思います。
ここで、話を「割り止め情報」の弊害についてに戻します。
最近の傾向として、我々の業界に対しても、お客様がネット検索で業者を探される事が、
多くなってきていますが、その中には大変クール?なお問い合わせをされる方がいらっしゃいます。
その方とは、必要最小限の事以外の会話を拒み、”割引出来るか出来ないか”だけの返事を求める方の事です。
勿論、それはそれとして、我々もプロですから、一向に構わないのですが、
不幸な事に、その振出人の内容がよくわからない会社とか、興信所の評点が低い会社の場合ですと、
最初の段階で、お客様から”どのようなお仕事をされて、その手形をお受け取りされたか”等、
色々教えていただかないことには、融通手形の類の可能性が払拭されず、審査が進まないケースがある訳なのです。
(業者によっては、それを聞かず、即お断りするところもあります。)
そのような時は、結果として「残念ですが割引出来ません。」とお断りせざるを得なくなります。
基本的に、我々は守秘義務があり、外部へ情報を出す事はありません。
しかし、このような行為をネットで探した割引業者に何社もクール?に問い合わせをし続け、
断られ続けたらどう言った事になるでしょうか?
いつかは、これ(手形の振出人)が、興信所の知るところにもなり、
これが割り止め情報として出る訳なのです。そして興信所の評点も下がります。
こうなると、最初に申し上げた「要注意(破綻リスク上昇)」となりますが、
さて、本当に全てがそうでしょうか?
手形の振出人の直接的な情報は、手形額面・支払期日・手形用紙の銀行と支店位です。
しかし、ここで例に挙げたのは、手形の受取人がクールな問い合わせをした事が原因ですから、
手形の振出人にとっては、そんな割り止め情報に出てしまう会社として見られ、
大きな迷惑を受けたことになりますよね。
私は、以上のような理由で、残念にも要注意先の企業のレッテルを貼られ、売掛金の上限を大幅に
減額されたり、色々な面で条件が厳しくなってしまった会社を、少なからず知っています。
これこそが割り止め情報の弊害なのです。
お客様の立場からすると、「自分の事は出来るだけ言わず、色々な割引業者に問い合わせしてみたい」
と言うお気持ちは分かりますが、こう言ったリスクが有る事をご存知であれば、と願う次第です。
今回も最後までお読みいただき有難うございました。