前回の続きです。早速、平成15年11月の判例を御紹介したいと思います。 舞台は、当時、独立系では日本一の事業者金融業者「商工ファンド」(その後破綻)が、 お客様から私製手形を振出させていて、それについて適法であるかを争った事件です。 以下、判決文 如何でしょうか。 ①「手形としての金銭支払の手段性、信用利用の用具性が全く認められず」 ②「手形としての本来の性質を全く見いだせず」 ③「手形法の趣旨を逸脱して作成され」 と、最初に手形法の形式性を否定した上で、 ④「簡易・迅速に債務名義を取得して、同人らに圧力をかけて金銭の取立をする事を 目的」と、手形の迅速性と手形独立の原則のメリットを目的とした …続きを読む
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- 手形講座
- 2015/06/08
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- 手形講座
- 2015/06/01
前々回のブログ『流通を妨げる手形』の中で、手形は「形式さえ整っていれば、 手形法上は有効です。」と書きましたが、皆様は”私製手形”なる物はご存知でしょうか。 当社でも、ベテラン社員は別として、10年以上勤務している社員達ですら見た事が 無いくらいですから、ご覧になった事がある方は、可也のツウ?だと思います。 この”私製手形”とは、手形要件(・一定の金額を支払うべき旨の単純な約束 ・満期の表示・約束手形なることを示す文字、等々)が全て書かれている用紙でして、 私の記憶している限り、30年位前は市販されていました。 この様な、全国銀行協会の規格様式で作成された統一手形用紙以外の”私製手形” (前々 …続きを読む
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- 手形講座
- 2015/05/25
60年も手形の商売をしていますと、トラブルが絡んだ手形を割引いてしまった経験や、 お客様から色々な話を伺う機会がありますが、今回は手形の善意取得について、 お話したいと思います。 手形は”基本的に”「一旦、振出人(為替手形は引受人)から手を離れると、如何なる 理由が有ろうと、振出人としての義務を負い、逆に手形の所持人は、その権利が保護 される」と言う、有価証券の流通性を損なわないように、厳格な決まり事があります。 皆さんも一万円札を入手した時に、誰の手を経由して、その経由の理由まで 考えませんよね。それに近い考えで保護されています。 しかし、”基本的に”と申し上げたように、「手形の振出人は、善 …続きを読む
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「流通を妨げる手形」かどうか(手形法上有効・・・しかし銀行業務上OUTな手形)
- 手形に関するQ&A
- 2015/04/27
手形は、手形法に基づいた基づいた一定の要件が整っていれば、 仮にメモ帳のような物 であっ ても有効ですが、効力を得る為の”呈示” する 行 為は、手形交換所でしか出来ないのが 現状です 。 その手形交換所へは、ルール上「統一手形用 紙」 という全国銀行協会 連合会で 一定した規格 様式 で作成され、かつその銀行が直接取引先に 交付した用紙を 用いる事になっています。 ”呈 示”する為には、銀行(金融機関)が受付窓口 になる訳ですが、 想定される色々な トラブルを 未然に防ぐ為に、銀行業務上受け付けてもらえない手形があり、 弊社もお取引に際して、 注意をはらっています。 よく、流通を妨げる手形か …続きを読む
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- 手形講座
- 2015/04/20
前回のブログで、「先取り利息→表面金利」と「後取り利息→実質金利」という お話を しましたが、 今回は、“もっと本来の大きな意味”での、 表面金利と実質金利のご説明をしたい と思います。 皆様は「銀行はお客様本人の信用の範囲 (与信枠)でお取引する」という事は、 御存知だと思います。 信用とは「ヒト・モノ・カネ」です。 ここで注目していただきたいのは、 「モノ・カネ」の部分にあたるところです。 (モノは商流やビジネスのスキーム… でもありますが) で、銀行はそこに担保を要求しますよね? 法的には、 拘束性預金は禁止されていますので、 何とも言い難いのですが、今回は『銀行へ供与している担保が、 …続きを読む